
HSPはなんでフルタイムがきついと感じるの?
HSPがゆるく働くにはどうすればいいんだろう
筆者は内向型HSPの特性を持ち、3度の転職を経験しました。
この経験からHSPがストレスなく働く方法を考えるようになり、毎日発信を続けています。
結論から言うと、HSPがフルタイムがきついと感じる理由は「精神的疲労が溜まりやすいから」です。
具体的には、毎日長い時間同じ人と過ごす気疲れや、責任のある仕事を任されやすいことなどが挙げられます。
HSPが「フルタイムで働けない」と感じるのは珍しいことではなく、同じ悩みを抱えたHSPの声はネット上にも多数寄せられています。
この記事ではHSPがフルタイムで働けない4つの理由と対処法を徹底的に解説しました。
フルタイムがきついと感じている理由が分かれば、対策を講じることができ自己否定感も解消されます。
無理せず生きるためのゆるい働き方を見つけたいHSPは、ぜひ最後まで読んでください。
目次
HSPがフルタイムがきついと感じるのは【精神的疲労が原因】

HSPがフルタイムがきついと感じる原因は「精神的疲労」が原因です。
長時間勤務になることで体力的なきつさもありますが「HSPだから体力がない」ということではありません。
フルタイムで精神的疲労が溜まる原因には以下の4つがあります。
- HSPはそもそも疲れやすい
- HSPは休息に必要な時間が長い
- 仕事の責任が重くなりがち
- 人間関係に疲れる
それぞれ解説します。
HSPはそもそも疲れやすい
HSPは非HSPに比べ、精神的疲労が溜まりやすいです。
なぜなら、HSPの繊細な感覚は日々の生活で多くの刺激を受け取るほか、物事を深く考察するため常に頭が回転している状態だからです。
例えば、いつもと違う場所にリモコンが置いてあるだけで
「最後に使った人は誰だろう」
「どうして違う場所に置いたんだろう」
「なにか考え事をしていたのかな」
など、普通ならそのまま流してしまうようなことを過程まで掘り下げて想像してしまうことがありませんか?
このような「考え事」が常時頭を巡っているため、脳が休まる時間が少ないのです。
HSPは休息に必要な時間が長い

HSPは日々の生活の中でさまざまな刺激を受けることで、精神的疲労が溜めていきます。
溜まった疲労を回復させるには脳を休める必要があるため、ひとりでのんびりと過ごす時間が必要になります。
休息時間を作るために削られるのは、趣味や娯楽などの「楽しい時間」です。
フルタイムなどの長い勤務を続けていると
疲労が溜まりやすい
⇓
休息時間が長くなる
⇓
楽しい時間が少なくなる
⇓
ストレスが蓄積される
このような悪循環が生まれます。
仕事の責任が重くなりがち

責任の大きな仕事というのは、一般的に役職や雇用形態に基づいて振り分けられます。
一方で、人手の足りない部署や中小企業などでは、雇用形態を問わず「できそうな人に任せる」ということがたびたび起こります。
特にフルタイム勤務をしている人は仕事の理解度が高いと判断され、そのターゲットになりがちです。
結果的にプレッシャーの大きい仕事を任されることになり、精神的疲労を溜め込んでしまいます。
人間関係に疲れる
HSPが人間関係に過剰に気を使うのは、勤務時間の長さに関わらず起こります。
しかし、勤務時間の長さは「気を使う時間の長さ」とほぼイコールです。
特に、長時間を共にする相手に使う気づかいは手を抜くことができず、相対的にフルタイムのほうが人間関係に疲れやすいと言えます。
フルタイムがきついHSPにまず考えてほしいこと

- 本当にフルタイムだからきついのか
- フルタイムで働き続ける必要はあるのか
- 自分にとって大切なことを整理する
それぞれ解説します。
本当にフルタイムだからきついのか
「HSPはフルタイムで働くのがきつい」
「HSPにはフルタイムは向いていない」
このような悩みはネット上にも多く寄せられています。
しかし今一度考えてみて欲しいのは、本当に「フルタイムだから」きついのかということです。
HSPがフルタイムがきついと感じるのは「精神的疲労が原因」と解説してきました。
これは裏を返せば、精神的疲労やストレスが溜まらない環境であればフルタイムがきついものではなくなるかもしれないということ。
重要なのは勤務時間の長さよりも「自分に適した仕事ができているか」です。
HSPの現実的な適職は以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
フルタイムで働き続ける必要はあるのか

昨今はさまざまな働き方が許容される時代で、フルタイム勤務にこだわる必要性は薄れてきました。
フルタイムで働くというのは、あなたが幸せに生きていくための手段のひとつにすぎません。
実際に、2023年の日本の労働者の正規雇用の割合は62.9%に留まっています。(厚生労働省「正規雇用労働者と非正規雇用労働者の推移」より)
HSPは他人の評価を過剰に気にしてしまい、本来の自分を見失ってしまう人が多いです。
世間体を気にするのは一度やめて、自分の望む生活はフルタイムでなければ得られないのかを考えてみてください。
自分にとって大切なことを整理する
「自分にとって大切なこと」
これは角度を変えて見ると「仕事をする理由」とも言えます。
なぜなら仕事とは、本来あなたの大切なことを守り、叶えるための「手段」だからです。

お金より大切なものはたくさんあります。
ですので、仕事選びは理想の生活からの逆算で探していくのが重要。
まずは思いつく限り、自分が生活の中で大切にしていることを書き出してみましょう。
例えば……
- 家族との時間を大事にしたい
- 年に一回は旅行に行きたい
- 節約生活はしたくない
- 仲の良い一部の人とだけ関わりたい
- 毎日2時間は趣味の時間が欲しい
- 毎日おいしいものを食べに行きたい
- たくさん稼ぐより毎日のんびりできるほうがいい など……
出来上がったリストが「あなたが仕事をする理由」です。
このリストをさらに優先度が高い順に並べ替えます。

こうして整理した価値観は、あなたに合った働き方を見つけるための道しるべになります。
フルタイムがきつい場合の対処法【3選】

- フルタイムでもきつくない仕事を探す
- 在宅ワークができないか相談してみる
- フルタイムを辞める
それぞれ解説します。
フルタイムでもきつくない仕事を探す
HSPがフルタイムをきついと感じる最大の理由は、職場での精神的疲労です。
人間関係のストレス、過度な刺激、マルチタスクによる負担など、心理的な負荷が体力以上に消耗させてしまうからです。
一方これは裏を返せば、精神的負担が少ない環境であればフルタイムでも無理なく働けるということ。
具体的には……
- ひとりで集中できる事務職・プログラマー
- 静かな環境で作業できるWeb系の仕事
- 創作活動に集中できるクリエイティブ系の仕事
このような仕事が挙げられます。
重要なのは「フルタイム=きつい」という固定概念を手放し、精神的に負担の少ない職場環境を探すことです。
HSPの繊細さは決して弱点ではなく、適切な環境では大きな強みとなります。
HSPの自分に合った適職の探し方は以下の記事で詳しく解説しています。
在宅ワークができないか相談してみる

HSPがフルタイムで感じる精神的疲労の多くは、オフィス環境での刺激や人間関係によるものです。
在宅ワークに切り替えることで、これらのストレス要因を大きく軽減できる可能性があります。
在宅ワーク最大のメリットは、自分に合った環境を自由に整えられること。
- オフィスの騒音
- 突然の会話の割り込み
- 視線を感じるプレッシャー
- 通勤時の混雑など
HSPが日々感じる刺激をほぼすべて回避できます。
また、自分のペースで休憩も取れるため、疲れが溜まる前にリフレッシュすることもできます。
会社と交渉をする際は以下のポイントを抑えておきましょう。
- 集中できる環境で生産性を向上させたい
- 業務効率化を図りたい
- 週1〜2回から部分的に導入したい

フルタイムを辞める
どうしてもフルタイムがきつい場合は、思い切って働き方そのものを変えることも有効な選択肢です。
昨今は多様な働き方が認められており、フルタイム以外でも十分に生活できる道があります。
具体的な働き方の選択肢を紹介します。
パート、アルバイト
メリット | デメリット |
・ストレスリスクの低い仕事を探しやすい ・時間の融通がききやすい ・責任やノルマが軽減 | ・収入が不安定 ・昇進の機会が限られる ・所得が上がりづらい |

派遣・契約社員
メリット | デメリット |
・正社員ほどの重い責任がない ・仕事の選択肢が広い ・長期間の人間関係がない | ・長期雇用が望めない ・昇進の機会が限られる ・所得が上がりづらい |

正社員ほどではないものの、ある程度所得も安定します。
フリーランス
メリット | デメリット |
・完全に自分のペースで働ける ・大きく収入を得られる可能性がある ・好きな時間、場所、相手を選んで働ける | ・収入が不安定 ・営業活動が必要 ・社会保障の自己負担が必要 |

ただし、成功するためにはスキルの習得や営業活動などが必要になり、時間や資金の投資は必須。
収入の不安定さも大きなネックになるので、計画的な準備が必要です。
雇われ+副業
メリット | デメリット |
・収入のリスクを分散できる ・選べる仕事の幅が大きく広がる ・独立を目指すことができる | ・プライベート時間が減る ・収入が不安定 ・副業は成功する保証がない |

ただし、時間の確保が最重要課題で、成功する保証もないのが一番のネック。
独立を目指しつつ、収入減のリスクを避けたい人におすすめです!
HSPの心の軽減術【7選】

HSPがフルタイム勤務で感じるつらさを根本的に解消するには、環境の調整や働き方の見直しが必要になります。
とはいえ、こうした対策を始めても「明日から急に楽になる」というわけではありません。
だからこそ大切なのが、今すぐ取り入れられる小さな工夫。
日常にちょっとした軽減術をプラスするだけで毎日のしんどさはやわらぎ、心に余裕が生まれます。
ここでは、HSPが無理なく実践できる「心の軽減術7選」を紹介します。
自分の本音と向き合う
共感力の高いHSPは、相手の求める自分を無意識に演じてしまいます。
人に合わせる時間が長くなるほど疲労やストレスは溜まっていくので、適度に自分の本音を開放するようにしましょう。
他のHSPと交流する

HSPは少数派であるため、身近に理解がある人は少ないです。
SNSやコミュニティへの参加など、HSP同士での交流を深めると多くのメリットがあります。
- 共感や安心感が得られる
- 孤独感の解消
- 悩み解決のアイディア
- 自分の特性への理解 など
コミュニケーションを取ることに抵抗がある人は、SNSをフォローして見ているだけでも効果は期待できます。
自己肯定感を上げる
自己肯定感が上がると、主に人間関係のストレス軽減を期待できます。
人に頼み事をしやすくなったり、無理な頼み事を断ることができるようになるからです。
自己肯定感を上げる具体的な方法は、副業や資格の取得をおすすめします。
HSPにおすすめの副業・資格はそれぞれ詳しくまとめています。
通勤を見直す

人混みや渋滞の通勤ラッシュを避け、ルートや時間帯をズラすのも効果的です。
1時間早く家を出て会社近くのカフェなどで資格や副業の勉強をすれば、効率的に時間の活用もできます。
自然からの癒し効果を受け取りやすいHSPは、緑の多い通勤路を選ぶのもおすすめ。
ゆるく責任転嫁する
仕事で失敗をしてしまったときは、心の中で上司にゆるく責任転嫁してしまいましょう。
失敗してしまったのはあなた自身のミスですが、あなたにその仕事を依頼した人にも責任はあります。
言わば上司の割り振りミスでもあるわけです。
自分だけの責任と抱え込まず、ゆるく責任転嫁してしまいましょう。
身近に植物や緑を配置

HSPは高い感受性を持つことから、緑や自然からの癒し効果を多分に受け取ります。
緑という色自体にも癒し効果があるとされており、実際にカウンセリングルームなどでもよく取り入れられています。
環境整備を頼んでみる
外部刺激が強い環境で、自分で改善が難しいような問題は思い切って上司に相談してみましょう。
例えば、室内の芳香剤の設置・撤去、座席の配置替えなどは簡単に容認されることもあります。
自分ひとりのために……と、考えてしまうのは理解できますが、それにより業務効率が上がるのであればお互いにとってのメリットです。
「業務効率化の提案」と割り切って伝えてみましょう。
HSPが【ゆるく働く】を叶える4ステップ

フルタイム勤務がつらいと感じるHSPにとって大切なのは、自分に合ったスタイルでゆるく働くことです。
「ゆるく働く」というのは「自分の人生観や価値観に合った働き方をする」ということ。
つまり「ゆるく働く」を叶えることができれば、仕事で感じるストレスを大幅に軽減できます。
自分に合ったゆるい働き方を見つける具体的な4ステップを紹介します。
- 「大切なことリスト」を見直す
- 心地よく暮らすための収入計画を立てる
- 仕事を選ぶ
- キャリアプランを立てる
それぞれ解説します。
1.「大切なことリスト」を見直す
「自分にとって大切なことを整理する」の項目で、大切なことリストの作り方を紹介しました。
「大切なことリスト」は、自分の理想の生活像を可視化したものです。
このリストをもとに、自分の人生観や価値観に合った無理のない働き方ができる仕事を探していきます。
2.心地よく暮らすための収入計画を立てる

あなたが理想とする生活には、どれくらいのお金が必要でしょうか?
もちろん多いに越したことはありませんが、稼ぐためには「時間」や「エネルギー」「人間関係のストレス」といった対価を払う必要があります。
そこで、先ほど作った「大切なことリスト」をもとに、自分にとって本当に必要な支出を見極めてみましょう。
- 生活費(家賃・光熱費・食費など)
- 趣味や旅行に使いたいお金
- 自分の心の余裕を保つための費用(習い事や外食など)
こうして理想の生活に必要な金額を具体的に計算することで、無理のない働き方や仕事量が見えてきます。
つまり「自分は何を犠牲にして、何を得たいのか」を明確にする作業です。
3.仕事を選ぶ

理想の生活や必要な収入が見えてきたら、次は自分に合った仕事を選ぶステップです。
ここで大切なのは自分の人生観や価値観に合うかどうか。
どんなに条件が良くても、価値観に合わない仕事はストレスがたまりやすくなります。
先ほど作った「大切なことリスト」はここでも大いに役立ちます。
例えば……
家族との時間を最優先にしたい | 勤務時間が柔軟な仕事 |
趣味の時間を確保したい | 残業の少ない仕事やリモート可能な仕事 |
人付き合いを最小限にしたい | 個人作業中心の仕事 |
このような形で条件を整理できます。
リストをもとに「ゆずれない条件」と「妥協できる条件」を意識しながら候補を比較していくと、自分に合った仕事が自然と見えてきます。
仕事選びは単に収入を得る手段ではなく、心の余裕を守るための選択です。
大切なことリストを活用し、自分に合ったゆるい働き方を見つけましょう。
4.キャリアプランを立てる

前のステップで、自分に合った仕事の候補は見えてきました。
ここでは、その仕事につくために何をすればいいかを具体的に考え、プランを立てる方法を解説します。
まずは、今の自分の状況を整理しましょう。
- 今すぐ転職できそうか
- 必要な資格やスキルは揃っているか
- 経験や実績で不足しているものはあるか
例)
「国家資格の取得が必須」
「経験が不足しているので、アルバイトや副業で少しずつ実績を積む必要がある」
足りないものがある場合は、取得までの期間や費用、成功率を考えながら計画を立てます。
例)
「独学なら3年かかる資格も、スクールを利用すれば1年で取得できるかも」
「お金はかけられないから、時間の確保をしなければならない」
「3年勉強して合格率10%はリスクが高い」
計画が現実的でないと感じたら、ステップ3に戻り再度仕事を探してみましょう。
- 「大切なことリスト」を見直す
- 妥協できる条件を再確認する
- 選択肢を修正する
例)
「資格取得に3年かかるなら、条件を少し緩めてみる」
「勉強時間を確保するために、一時的に収入を落として時間を優先する」
フルタイムにこだわらず、自分の優先順位を大事にできる働き方を選ぶことは決して甘えではありません。
むしろ、自分らしく働き続けるための前向きな工夫だと言えます。
まとめ

HSPが「フルタイムがきつい」と感じる理由は主に以下の4つです。
- HSPはそもそも疲れやすい
- HSPは休息に必要な時間が長い
- 仕事の責任が重くなりがち
- 人間関係に疲れる
ただし「フルタイム=きつい」と決めつける必要はありません。
大事なのは、自分の特性や生活に合った働き方を選ぶこと。
ストレスの要因を取り除くことができれば、勤務時間の長さに関係なく楽に働いていくことができるからです。
その結果、無理なく働くことで自己肯定感も回復し、HSPならではの強みも自然に活かせるようになります。
無理にフルタイムで頑張り続ける必要はありません。
自分に合った働き方を見つけるヒントは、こちらの記事で詳しく解説しています。
まずは一歩、自分に合った働き方を考えてみるところから始めてみましょう。